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単身高齢者が孤独死!残置物の処理をどうしますか?国交省・法務省がモデル条項を発表

築山(つきやま)

こんにちは!調布みつぎ 賃貸管理部の築山です。

国土交通省と法務省が6月に「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を公表しました。
これは、賃貸住宅の高齢入居者が孤独死した場合などを想定し、残置物の処理について借主が事前に手続きを任せる対象と処理の方法を決めておくというものです。

これまで残置物の処分問題に関しては、相続人がいない場合の明確な対応の指針がありませんでしたが、今回法務省と国交省がモデル契約を策定したことで、残置物への対応の方法について業界でも道筋がついたといえます。
国としてはモデル契約の活用により、高齢者の賃貸住宅への入居の受入れを進める狙いがあるようです。
(記事参考:全国賃貸住宅新聞2021.7.19『借主の死後3カ月で動産処分可能 残置物処理、生前の事務委任契約モデル発表』ほか)

賃貸借契約の締結時に、2つの委任契約を締結する

賃借人が死亡すると、賃借権と物件内に残された家財(残置物)の所有権は、その相続人に承継されるため、相続人の有無や所在が分からない場合、賃貸借契約の解除や残置物の処理が困難になることがあります。

このようなリスクが主な原因となり、特に単身の高齢者に対して賃貸人が建物を貸すことを躊躇する問題が生じているため、今回のモデル契約条項の発表の運びとなりました。

賃借人の死亡時に契約関係及び残置物を円滑に処理することができるように、賃貸借契約の締結にあたり、賃借人と受任者との間で、
①賃貸借契約の解除の事務委任契約
②残置物の処理に関する死後の事務委任契約
を締結しておくことが有効と考えられます。

国土交通省「残置物の処理等に関するモデル契約条項」より
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000101.html

想定される受任者

以下のいずれかの者を受任者とすることが望ましいと考えられます。なお、賃貸人は賃借人と利益相反の関係にあるため、受任者とすることは避けるべきと考えられます。また、管理業者は賃貸人の利益を優先することなく、賃借人(の相続人)の利益のために誠実に対応することが求められます。

◆賃借人の推定相続人のいずれか
◆居住支援法人、管理業者等の第三者(推定相続人を受任者とすることが困難な場合)

想定される利用場面

単身の高齢者(60歳以上の者)が賃貸物件を賃借する場合に利用していただくことを想定しています。
なお、賃借人の死亡後の契約関係の処理や残置物の処理に関して賃貸人が不安を感じにくい場面で利用すると民法や消費者契約法に違反して無効となる可能性があるため、注意が必要です。

①賃貸借契約の解除事務の委任に関する契約について

賃借人の死亡時に賃貸人との合意によって賃貸借契約を解除する代理権を受任者に与えます。

②残置物の処理事務の委任に関する契約について

・賃借人の死亡時における残置物の廃棄や指定先への送付等の事務を受任者に委託します。
・賃借人は、「廃棄しない残置物」 (相続人等に渡す家財等)を指定するとともに、その送付先を明らかにします。
・受任者は、賃借人の死亡から一定期間が経過し、かつ、賃貸借契約が終了した後に、「廃棄しない残置物」以外のものを廃棄します。ただし、換価することができる残置物については、換価するように努める必要があります。

以上、国土交通省「大家さんのための単身入居者の受入れガイド」参照
https://www.mlit.go.jp/common/001338112.pdf

上記はこれから確立されていく制度であり、今後業界団体が勉強会などを開き、業務の流れや整理を行っていくものと思われます。当社としても勉強を重ね、最新情報を逐次オーナー様にお届けしてまいります。

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事業用不動産の専門部署  業務内容:多摩エリア全域 事業用物件の空室対策や、空き家の活用、事業用不動産の売買などを行っております。 ◇宅地建物取引士 ◇賃貸不動産経営管理士 ◇不動産コンサルティングマスター
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