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入居者が突然の失踪!?もしもの時の備えを(保証会社利用のススメ)

築山(つきやま)

こんにちは!調布みつぎ 賃貸管理部の築山です。
不動産賃貸オーナー様の中には、レアケースながら、いわゆる「夜逃げ」のように入居者との連絡が取れなくなり、残置物の処分にお困りになった方もいらっしゃるかと思います。
法律上、家主は他人の物に触れてはならないため、片付けに時間を要すケースも少なくありません。

行方不明者の漸増

下記のグラフは、行方不明者(令和元年)の状況です。
高齢化の進展を背景に、認知症による行方不明者は増加傾向にあり、全体としても微増のトレンドのように見受けられます。
コロナ禍もあり、今後、漸増の可能性も考えられます。

そのような点からも注目される判決が、先日大阪高裁で下されました。
オーナー様にとって今後のリスクヘッジのため、事前の対応策と合わせてご紹介いたします。
記事参考:『家主と地主 2021年6月号』より

大阪高裁「滞納時の残置物処分認める」

消費者団体Aが、家賃債務保証会社Bに対し、同社の家賃債務保証契約が消費者契約法に違反するとして契約の破棄を求めた裁判の判決が令和3年3月5日、大阪高裁で下りました。

争点の一つとなった、一定の条件の下、残置物の処分を認める条項は保証会社B側の契約内容が認められました。
相当期間物件の利用実態がなく、賃借人と連絡が不通であるといった要件を満たす場合に限り、契約解除前でも滞納時の残置物処分を認める判断となりました。

今回の裁判の争点の一つは、滞納時の残置物処分を定めた家賃債務保証契約内容についてです。

保証会社Bが契約内容で示した要件は、次の4点です。

①2カ月以上の家賃滞納
②いかなる手段を尽くしても賃借人本人と連絡が取れない
③電気・ガス・水道の利用状況、郵便物の状況などから相当期間利用していないと認められる
④賃借人が賃借物件を再び占有使用しない意思が客観的に看取できる事情が存する

同契約には、①~④を満たした場合に限り、賃借人が異議を申し立てないのであれば、賃借物件の明け渡しがあったものとみなすという条項(18条2項2号)があります。
さらに同条項を満たした場合については、

⑤賃借物件内の残置動産を任意に搬出・保管することに異議を述べない
⑥搬出・保管して1カ月後に引き取らないものにおいて所有権を放棄・処分する

ことに被告が異議を述べないとする条項があります。

大阪高裁の判断では、保証会社B側の同条項の内容は消費者団体Aの主張する消費者契約法違反には当たらないとしました。
大阪高裁の判決では、18条2項2号について、「賃借人が賃借物件について、占有する意思を最終的かつ確定的に放棄した(ことにより賃借物件についての占有権が消滅した)」ものと認められるための要件を、その充足の有無を容易かつ的確に判断することができるような文言で可能な限り網羅的に規定しようとしている」と理解されるとしました。

つまり、①~④の要件をすべて満たした上であれば、賃借人が占有権を放棄したとみなされ、結果、占有権の消滅とともに明け渡しが可能な状態といえるとの判断を下しました。

ただし、注意点があります。
原則的に、3カ月以上の滞納(=一般に「信頼関係が破壊された」とみなす時間的基準)の後、賃貸人は賃貸借契約解除を求め、それが裁判で認められた上で、家財を処分するという流れをとります。
今回の判決はあくまで、例外的な状況においてのみ、明け渡ししたとみなし、家財の処分を行うことを、①~④の要件を最低条件として提示したにすぎないことに留意しておく必要があります。

「今回の判断は、2カ月以上滞納すると、賃貸人が勝手に家財の処分をしても良いということではない。(上述の通り)3カ月滞納しなければ家主との信頼関係の破壊とならないのが通例。誤解して、同条項を契約書に記載して家財を処分すると大変なことになるため、内容の正しい理解が必要」

と、保証会社Bの代表は仰っています。
以上が、今回の判決とその内容の詳述でした。

契約者失踪の事例

当社の管理物件においても、契約者が突然失踪してしまい、連絡不通となった案件がありました。
当該契約者は保証会社と保証契約を締結していたため、家主に代わり煩わしい訴訟手続きの方も、保証会社が代理で行ってくれました。

やはり3カ月以上の期間をもって信頼関係破綻とみなし提訴の上、裁判所の判決を待ち、事案発生より約半年ほどの期間を経て、明け渡しの強制執行が取られ、最終的に解決に至りました。

明け渡しに至るまでの賃料や残置物撤去費用も保証会社が保証してくれましたが、解決を待っての一括入金となるため、約半年間は当該物件の賃料収入は無しという状況になる点、留意が必要です。

失踪に備えた対応策:保証会社の利用

コロナ禍で先行き不透明な状況もあります。
もしもの際に備え、これからは保証会社の利用を前提とした賃貸借契約をすることを、管理会社として強くお勧めします。

既存入居者で保証会社未利用の場合でも、契約更新などのタイミングで切り替えられる場合もございます。
気になる方は管理会社に相談してみてください。

不動産無料相談会(6月)のお知らせ

調布みつぎ不動産研究所では、毎月不動産相談会を開催しています。

不動産の有効活用、賃貸管理、売買、相続、トランクルーム、リフォームのことなど、何でもお気軽にご相談ください。

日 時:2021年6月19日(土)13時~15時
会 場:東京都調布市調布ケ丘2-8-2
    調布みつぎ不動産研究所3階セミナールーム相談料:無料(要予約)

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募集から管理、退去後の原状回復工事(リノベーション含む)に至るまで、ワンストップサービスで提供できることを強みとしております。

賃貸管理部 築山(ツキヤマ)まで、お気軽にご相談ください。

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Asari Kensuke
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事業用不動産の専門部署  業務内容:多摩エリア全域 事業用物件の空室対策や、空き家の活用、事業用不動産の売買などを行っております。 ◇宅地建物取引士 ◇賃貸不動産経営管理士 ◇不動産コンサルティングマスター
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